ごぶさたしました、甘夏です。いやほんとに。何をしてたかというと、
■昼の仕事
(事務職をしています。いろんな人が動きやすいように調整ごとや相談をしたり、
ときに深夜まで居残りしたりお菓子を配ったりします。
高校生のとき、職業の紹介がある本をみながら
「事務ってなんだよ、具体的に言えよ」とつねづね思っていたのですが、
要するに他のなんでもないこと、なんでもあることを総じて「事務」
ということなのかも。存在を気づかせないほど自然に物事を進める、
というのが事務のプロフェッショナルだ、とつねづね思っています。)
■イベントの準備(詳細は後日!)
■次の号の準備
■実家のパソコンを整理する、住まいの整理
■雪かき
■映画サークル時代の友達が数年ぶりの新作を映画館で上映するイベント、
アントルラ vol.1 に行く、が、席がない、次の公開機会待ってます!
■映画
『Playback』を観に行く。知り合いが監督なのですが、
かーなり、トラウマになった箇所がありました。素晴らしい。
名古屋、大分、ほかで上映始まるのでお近くのかたはぜひ!
骨太の男の映画だよ! 二度観たくなる作品です。
■同じく大好きな友達Kちゃんが撮った8mm映画のアフレコに行く。
出演したのは4、5年前でした。
共演したM君がめっちゃめちゃかっこよく映ってた。
おのれは猫背が気になった。人間っていうかほぼ猫の役でよかった。。
■親知らずを抜いた、数年ぶりのドキドキ感と熱
というわけでいまここです。これからは落ち着いて更新できます!
さて、いろんな人にお渡ししているこの雑誌「ハッカ糖」創刊準備号ですが、
読者のかたにいただいたお問い合わせがあるのでお答えします。
Q:ハッカ糖はどこで買えますか?
A:いまのとこ、どこでも買えません! ごめんなさいーーー!
と、いうのもですね、創刊準備号ということもあり、また甘夏がほかの仕事もしていることもあり、次に万端整えて走り出すため、今回はとても少ない部数しか作成できていないのです。お世話になった方、関係者、劇場等にお渡ししてもうすっかりなくなってしまうぐらいの部数です。なので、今回は甘夏とハッカ糖編集部周りだけで少しずつ手渡ししています。ごめんなさい。
ありがたいことに、読みたい、とか、どこで買えるの、見本はないの、
というお言葉をいろんな方からいただいているので、
現在このブログからPDFリンクで観られるよう準備をしています。
2月頭にはオープンするので、お待ちくださいね!
また、創刊号以降は販売の予定です。
こちらも続報おまちくださいませ!
そんななか、創刊準備号で全国のおすすめ演劇を紹介してくれた、
頼りになる(見た目はひょろっと頼りない)兄貴分、
ナカヤマ氏あらためダニエルさんからお手紙が届きましたよ!
本誌で
近畿公演を紹介した、中野成樹+フランケンズという劇団の、の横浜バージョンを観に行ったのです。目下あさって土曜日まで
福岡バージョン、やってます。
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ぶんいた0えともぶぶんいた0んいた0とのたえともとええともとのたともとのたのた中野成樹+フランケンズ『ナカフラ演劇展』D1プログラム
『マキシマム・オーバードライブ改』
『家族でお食事夢うつつ』
ども、ダニエルです。
演劇を見ていて醒めちゃうときっていろいろあるけど、
ひとつは不自然なときだと思うんだよね。
しゃべり方がヘンだったり言葉づかいがおかしかったり、
身振りが不自然なとき。
これはまあ、映画でもドラマでも同じなんだけど、
例えば「そんな風に喋んないよ」って思うポイントがあると、
気になって、話に集中できなくなるんだよね、僕は。
これが歌舞伎とか能だと、「伝統芸能だからね」で済むし、
そもそも「普通」じゃないセリフ回しや動きを観に行ってるから
気にならないんだけど。
この「不自然である」というのは、
お話のなかでのリアリティがないと言うこともできる
(「お話のなかで」っていうのが重要!)。
だからそういう意味では、外国の、しかも昔の作品を
上演することにはちょっとリスクがある。
「日本人はそんな長々しゃべらないよねぇ」とか、
「そんなオーバーリアクションじゃないよねぇ」って思われかねないから。
その点、中野成樹+フランケンズ(ナカフラ)の今回の公演は、これまで同様
(僕はナカフラを見るのは7回目だったかな?)、
外国のお話を、ストーリーの核心は残しつつ、
セリフやキャラクターをアップデートして、
現代のぼくたちが普通に楽しめるようにしておりました。
と、いうわけで、まず『マキシマム・オーバードライブ改』。
フランスが世界に誇る劇作家の一人、モリエールの『亭主学校』という作品が
原作なのですが、これ、1661年に書かれたお話です!
僕はこれまでモリエールの作品を2回見たことがあるけど、
その時はそんなに面白いと思えなかった。
えともとのた 当時の僕に、それらの上演のよさがわからなかっただけかもしれないけどでも、
今回はすごく面白かった。
理由は二つ。ひとつはキャラクター設定がよかったから。
もともとのあらすじは、
お互いを信頼し、干渉しない「オトナの関係」を築いている兄夫婦に反対する弟が、
自分の婚約者を束縛するうち(部屋に監禁さえしている!)、
結局は彼女を性格のマトモなイケメンに取られてしまうって話。
しかも間抜けにも、弟自身が気づかないうちに二人をくっつけてしまう。
クラシックなコメディであるこのお話を、
ナカフラの演出で弟をDVの気があるヤンキーにしていたんだけど、
これが絶妙で、グッと話に入りやすくなっていた。
もうひとつは、30分で手際よく見せてくれたから。
原作も短編なんだけど、セリフを現代っぽい表現に変えテンポも詰めたことで、
僕らの感覚に合う上演になってたと思う。
と同時に、文学的・歴史的には意味があるのだけど僕らが演劇として楽しむ時には
「余計な」修飾語だとかをセリフから取っていたぶん、
弟のアホさ+可哀想さがストレートに伝わってきた。
つづいて、『家族でお食事夢うつつ』。
アメリカの劇作家ソーントン・ワイルダーが1931年に書いた
『ロング・クリスマス・ディナー』が原作。
地方に住むある一家の90年(!)の歴史を45分(!)で描く。
そういうと、「時間足りるの?」って思っちゃうけど、大丈夫。
演劇(というかフィクション一般)では時間の経過を操作できるから。
でも、うまくやるにはコツがいる。原作者のワイルダーは、
場面をクリスマスに限定した。家族で過ごすクリスマスを何年かごとに見せる。
これはとてもハッキリとした形式だから、
一度理解すれば時間が飛ぶことに戸惑わない。
定点観測的に見ていくから、変化もわかる。
子どもが生まれたり、親が亡くなったり、子どもが成長し、独立したり…。
嬉しいことも辛いこともひっくるめて淡々と時間が進行していく。
その分、一瞬一瞬の、とりわけ幸せな瞬間の貴重さがよくわかる。
テンポよく、サラッと上演するナカフラのスタイルは、
こういうお話に合っていると思う。また、
机と椅子そして天井から吊り下げた電球からなる舞台装置も、
シンプルなだけに想像力が刺激されてよかった。
最後に。昨年末、実家に帰り、家族で年越しをしているときにふと
この作品を思い出しました。昨年から今年にかけて、
わが家に大きな変化はなかったのだけど、いや、なかったからか、
なんだかとても切ない気分になりました。
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この公演は甘夏も行ったのですが、もう、『家族でお食事夢うつつ』が
愛おしすぎて。劇場を出てから涙をこらえるのに必死でした。
ただでさえ家族ものには弱いのに、理解や無理解や寂寥や喜びを
あんなふうに凝縮して見せてくれるなんて。とても洗練され、
おしゃれな音楽と美術と、どこか手作業感のある舞台のバランスもよかったです。
(横浜のSTスポットという小劇場で、ダンス公演が多くやるところなのですが、いい箱なんだこれが)
身体一個じゃ足りないわ!
ではでは、良い週末をお過ごしくださいませ。