2013年2月18日月曜日

ダニエルさんからの手紙+配置とセンスについて

と、いうことで。先日横浜であった「マームとジプシー」公演のおたよりが届きました!
さっそくダニエルさん、よろしくお願いしまーす。

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マームとジプシー
あ、ストレンジャー

 まだまだ寒い日々が続きますが、
 みなさま、いかがお過ごしでしょうか。ダニエルです。
 マームとジプシーの『あ、ストレンジャー』を、吉祥寺では観られなかったので、
 横浜で観てきました。

 さて、劇場に行くとやたらとチラシをもらうことが多いですが、
 みなさんはチラシのどこを見ますか? 
 タイトル、演出家(振付家)、出演者、劇場等々、
 いろいろ見るべき点はありますが、
 僕はまずデザインを見ます。
 「デザイン」なんて直球すぎると言えば、直球すぎですが、
 チラシも一種の表現ですから、写真(またはイラスト)のセレクト、
 色づかい、フォントなどに当然作り手のセンスが出てくるのです。
 前に誰かがどこかに
 「チラシのデザインがよくてもつまらない舞台はあるけど、その逆はない」と
 書いていたのを読みましたが、経験上その通りだと思います。

『あ、ストレンジャー』のチラシは、
最近見かけたチラシのなかでは群を抜いてセンスがよく、
一目見たときから気になってました。
どんなチラシというと、まず斜線で画面が三分割されています。
上下の三角形の範囲が青、挟まれた真ん中の台形の部分が白で、
白い部分にはスラッシュがたくさん入っていて、
そのなかにタイトルの「あ、ストレンジャー」が一字ずつランダムに置かれています。
なんというかこう、全体的に「配置」がうまいのです。
そしてこの「配置」のセンスのよさは、作品でも発揮されていたのでした。

カミュの『異邦人』を下敷きにしたこの作品では、
主人公の若い女性の、母親が亡くなってからの3日間が、
バイト先の人々との関係を交えて描かれます。
単線的に書いてしまうと、割とサッと終わってしまう物語なのですが、
マームとジプシーの特徴と言われる「リフレインくり返し」を使いながら
話を進めていくことで、重層的な物語になっていました。
物語を時系列的に最初から終わりまで一直線に進めるのではなく、
場面を切り出して、時間的な前後関係をずらして並べたり
(土曜日の場面の次に、二日前の木曜日の場面になったり、
その次にまた土曜日になったりします)、
同じ場面を違う視点で再度演じてみたりしていました
(最初は主人公の視点を中心に演じ、
二回目は相手方のバイト先の先輩の視点を中心に演じるとか)。
こう、行きつ戻りつするなかで、話の全体像が見えてくるのです。
つまり、場面の「配置」に工夫が凝らされているのですが、
これがうまくいっていたのは、センスがあるからなのでしょう。
「配置」についてのセンスのよさはまた、
舞台上での俳優やモノ(=舞台装置・小道具)の配置の仕方にも発揮されていました。 劇中で、場面は主人公が暮らすアパートの一室から、
バイト先のカラオケボックス、海辺、主人公の母親が入所していた施設等々、
様々な場所に移るのですが、一個一個、リアルな舞台装置を作ることはしていません。 机や椅子、大小二つの木枠、床に引かれた線、
コーヒーカップやラジコン、ミニカーといった小道具の数々と照明、
ライブ映像などを使って場面の変化を示すのです。
で、ひとつひとつの要素の選択、それらの組み合わせのセンスがよいのです。

このように、お話の点でも、演出の点でも個々の要素がセンスよく配置された結果、
ひとつひとつの場面がとてもフレッシュに見えました。
こうした体験は、この『あ、ストレンジャー』という作品のあらすじを読むだけでは
絶対にできないことです。
要素の「配置」というのも、演劇作品を作る上で、重要なポイントだと思いました。
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そうなんです。チラシはね、すごい左右するよね、舞台を観る気を。
いいなあ!っていうのが大当たりする可能性はまあ半々ですが、
だいたいチラシみて「あれ?」と思ったら合わない可能性のほうが高いです。
だいたいチラシって演劇にとっては唯一至高の(言い過ぎだけど)事前情報なので、
そこでテンションあがんないともう、行く気なくなっちゃいますよね。へへへ。

あとは配置か。そう、舞台は総合芸術なので、
とにかくいろんな要素がいっぺんに提示されます。
何でもできるからこそ、何にもしないという選択肢もあるわけで。
往々にして、引き算のほうがむずかしいですよね。私はかなり苦手な方なので、うまくいっている舞台をみるといつも「ほう」となります。

それにしても・・・!観たかった。悔しい。だって「配置が良い」と聞いても観てみるまで全然わかんないじゃん!いまわたしが想像する「配置の良さ」よりずっといいものが観れると思うし。うわー。今回私はイベントの準備と本職の仕事のラッシュが重なって行けなかったのです。次こそはかならず!

 

zineおひろめ会、ご来場ありがとうございました。

昨日は、zineおひろめ会「zemimur大祭」にご来場ありがとうございました。いやあ、盛り上がりました。びっくりした。なんと前日告知にもかかわらずきてくださった友人たち、ほんとにありがとうございます。
当日の模様を少しだけ。

 主催者の編集ゼミ仲間たちはそろいで白の衣裳に髪飾り。髪は生花を使ったアクセサリーです。

 装飾の様子。zine 「unintended.」のきくちゆみこちゃんがつづることばの短冊が飾られています。


 ゼミ仲間がつくった雑誌/企画をめぐるプログラムが次々に。助産師みきちゃんのおっぱい会(!)です。女性のからだをめぐるあたたかな話と、体操。みきちゃんはこの日助産師を勇気づけるzine「TRAUBE」を創刊しました。めっちゃセンスよくて、ほっくりと愛らしい雑誌なのよ。

こちらは名記事「いのちをつなぐ給食室」を書いたももちゃんによる歌の時間。パートナーと息もぴったりに、記事のもととなったあるパーソナルな出来事からできた歌をきかせてくれました。うまくてびっくりした・・・

 で、左からゆみこちゃんと、わたしこと甘夏と、そしてちょうかっこよくて素敵な映画のフリーペーパー「ANNA」創刊のミリーによる「米仏ポエトリー会議」。要するにポエトリーリーディング? です。映画と詩とラップを、英語と日本語とフランス語で重ねてゆく。というと形があるようなのですが、いやあ緊張したのなんの・・・ほっとんどお客さんのことをまともに観れていないのですが、おかげさまでちょっぴり好評? ひよわのひよわですが小さな芽は出たので、これから少しずつこの3人で続けていきたいと思います。(なんとチーム名だけもうある。Three NANASといいます。よろしく!)

このほかにも、
・種をめぐる、ためし食ありのトーク
・小屋とふんどし(予定外)を語るややワイルドな男子たちの集まり
・DJエリーによる踊りの時間
・おだしをきちんととった美味しいお味噌汁とパン
・有機材料のあったかい飲み物、お茶、サングリア、お菓子
などなど盛りだくさんのないようでした。

 このzineのチームでfacebookページを作りますので、どうぞ観てみてください。いやほんと嫉妬するほどいいzineが集まってるんですよ・・・! 
 言いたい事を言い、食べたいものを食べ、好きなように笑い、何かについて驚くというこういう時間はほんとよいなあ。

2013年2月16日土曜日

zineのおひろめ会、やります@四谷三丁目、2/17(明日!)15-22時

なんと明日(!)なのですが、(いっつもそんなんやん、ていう突っ込みは受付中です)
イベントをやります☆
昨年10-12月にかけて、「ハッカ糖」の生まれる土壌となった、
服部みれいさんの編集ゼミで作ったちいさな雑誌たちの販売と、
各自のzineにまつわる出し物を出します。
女の子のための音楽、映画、陶器、眠り(!)、演劇・・・などなどの雑誌が大集合、
当日いらしたお客様のためだけの、スペシャルなサプライズもあるとかないとか?!

どうぞ、お時間あるときふらりと寄っていただくと嬉しいです。
私は19:30-(予定、早まるかも)に詩の朗読??ミニ演劇??をしまーす。
以下詳細。
ーーーーーー
きっかけは、
2012年10月〜12月のあいだ、
青山ブックセンターで開かれていた「服部みれいの編集ゼミ」。
大人気かつ良質のリトルプレス『murmur magazine』の編集長、服部みれいさんが、
総勢14名のわたしたち参加者へ、編集のいろはをたのしく熱く教えてくれました。

ゼミ内で、わたしたちはそれぞれに雑誌や企画を完成させました!
が、なかなか発表する場がない……
じゃあ、その場を作っちゃえばいいんじゃない?
さらに、個性あふれるメンバーがそろってるんだから、出しものを出してもいいかもね?
ということで始まったのがzemimur大祭なのです!


<開催の日程・場所>
2013年2月17日(日)15:00〜22:00
@四谷3丁目One kitchen アクセスはこちら

<入場料について>
ドネーション制。
1000円、2000円など、みなさまのお好きな金額を提供していただければと思います!

<当日のスケジュール(予定)>

☆出しもの
15:00〜15:10 開祭の辞
15:10〜16:00 えりーのサンデイ・アフタヌーン・フィーバー(DJ)
16:00〜17:00 おっぱい会(おっぱい体操&トーク)
17:00〜17:30 みんなで聴こう「ネリネ」(ギターとうた)
17:30〜18:30 種トーーク!(野菜食べくらべ&トーク)
18:30〜19:30 小屋男子座談会(小屋トーク)
19:30〜20:30 米仏ポエトリー会議(ポエトリーリーディング)
20:30〜21:00
21:00〜21:45 みんなの雑誌のおひろめ
21:45〜22:00 閉会の辞

☆フード&ドリンク
15:10〜17:30 2月うさぎのティーパーティー
17:30〜19:30 葡萄酒とあたたかなごちそう
19:30〜21:45 ナイトアロマ、ナイトティー

☆販売
土から陶器店
各種ZINE
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こられる方、ひとこと伺えたらとっても嬉しいです!「あ、時間あいたな」なんてときはぜひ、onekitchenへ。
みならい編集者のボーイ&ガールがおまちしてます☆

2013年2月11日月曜日

ダニエルさんからの手紙+ダンスについて


ダニエルさんから、1月の『アクラム・カーン『DESH―デッシュ』』の観劇お手紙が届きました。ダンスをみる楽しさ、について、です。
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ども、ダニエルです。
アクラム・カーンの『DESH』を観てきました。
作品については、もうだいたい甘夏さんが書いてくれたので、
今さら僕が書くこともなさそうですが、ここで質問を一つ。

突然ですが、ダンスは好きですか? 「好き」なら、踊るのが好きですか? 
それとも観るのが好きですか? はたまた、どっちもですか?

僕は、踊るのは「好き」というほどではないですが
(ダンスをちゃんとやったことはないし、クラブにも2、3回しか行ったことがありません)、
観るのは好きです。
ダンスの場合、演劇以上に、「やるのも観るのも好き」な人が多そうな気がするので、
僕のような人は少数派かもしれません。

じゃあ、自分では踊らないくせに、どうして僕がダンスを観るかというと、
一番の理由は(自分にとって)いいダンス、いい動きを観ていると
気持ちよくなるからです。
YouTubePerfumeやマイケル・ジャクソン(古い…)のPVを観るときも、
劇場にダンスを観に行くときも同じです。
要は、カラダで楽しむ感じです。もちろん作品によっては、頭で楽しむ時もありますが。

劇場では何を観ているかというと、大半はコンテンポラリーダンスを観ています。「ちょっと待って、コンテンポラリーダンスって何?」
と思う人がいるかもしれませんが、
これといった答えはありません。コンテンポラリーダンスは、
「バレエでも、ストリートダンスでも、日本舞踊etc.でもないダンス」で、
言ってみれば「何でもアリのダンス」です(現代アートみたいなものかなぁ)。

そうすると、「それって、どういうこと???」と思い、
「大丈夫かなぁ」と不安になるかもしれません。でも、
「何が出てくるんだろう?」という思いは、裏を返せば、
「まだ見ぬもの」へのワクワク感にもなります。
僕がコンテンポラリーダンスを7、8年くらい観つづけているのは、
このワクワク感のためです。

前置きが長くなりましたが、アクラム・カーンによる『DESH』は、
気持ちよさとワクワク感の両方を満たしてくれる素晴らしい作品でした。
YouTubeの動画でもわかるかと思いますが、
インド古典舞踊のカタックをベースにしているカーンの動きは、
とてもキレがあって、カッコいい。まずこれだけで満足です。
そのうえ、父と子をめぐる物語があることで、作品にグイグイ引き込まれます。更に、
音楽、舞台美術、照明、アニメーションといった要素が表現の幅を広げ、
次々に繰り出される見せ場の連続に圧倒されてしまいました。

というのが単純な感想なのです。で、それとは別に観終わった後、
こういう素晴らしい作品が生まれたのは、一人の天才(カーン)の力のみによるのではなく、
その周りに様々な才能(音楽、舞台美術等々)が集まったからなんだろうなぁ、と思いました。

いろんな人が力を合わせて一つの作品を作るというのは、舞台づくりの魅力の一つかもしれません。
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ダニエルさんありがとうー!

私は小さい頃ダンスを習ってました。そこは小さな子ども向け教室で、
日舞やらクラシックやらの要素を取り入れたダンスをすることと、
心身をみがくこと(しつけですね)という意味合いが
半々ぐらいのところでした。
運動神経がない私としては、完全についていけなかったのですが
それでも、奔放に体を動かすのはまあ大好きです。リトミック、好きだったなー。音楽にあわせていろんなものになりきるの。「木」とか。
いまでも、結構アイドルのPVとか観てるとなんか感情がガーッと動く感じがします。
体と感情ってリンクしてるんだわ! と気づいたのは最近です。

豪華な劇場にゆくとなんとなくかしこまらなきゃいけない気がしちゃうけど、
そういうことではなく、深々と椅子に座ってゆるりと安心して楽しめると良いですね。
ではきょうは、このあたりで。

オーディトリウム渋谷、すごいぜ!

2月。旧暦の新年がきました。節分は初めて豆をまきませんでした。こんにちは! 甘夏です。
きょうは、おしらせを2つほど。

◎東京/渋谷の映画館「オーディトリウム渋谷」にて面白そうな企画をやるそうですよー。
題して『演劇』と映画館の「親密さ」 。本誌でもご紹介した濱口竜介監督『親密さ』、
想田和弘監督『演劇Ⅰ』『演劇Ⅱ』、をはじめ、
ジョン・カサヴェテス、松井周(劇団「サンプル」の演出家さんです)
・・・演劇を扱った映画の特集上映、とのこと。
正直言って、「やられた!」って感じの企画です。

前々から私は、
舞台は上演も面白いけど、そこまでの過程である稽古場とか舞台作りとか
ばらしとかそういうのが魅力的だよな、と思っていました。
過程を観るってのは、ぞくぞくするものです。

舞台と映画のかなり大きな違いは、
舞台が自分の目でみたいものを(なかば無意識に)観ているのに対して、
映画はカメラの目、つまり誰かほかの人の目で
観ざるを得ないという事です。
舞台を撮った作品って、その感覚が合わないとすごくいらいらするだろうけれど、
偶然にも、自分が見逃すであろうところをきっちりみせてもらえる
楽しさみたいなものもきっとあると思います。

と、か、いいながら、このなかの作品は観たことない作品も多いのです。
私、何回行けばいいんだろう・・・。武者震いですな。

というわけで、とっても珍しいこの企画、
ぜひぜひ、足を運んでみてくださいな!

◎ハッカ糖の次号とPDFについて
ただいま、編集部の再編に基づき、少し時間をいただいてます。ごめんなさい! お待ちくださいませ。

きょうはもう一つ更新します。


2013年1月28日月曜日

アクラム・カーン『DESH』すごかった!

昨日1月27日編集部では、ハッカ糖創刊準備号でもご紹介した、彩の国さいたま芸術劇場で行われたダンス公演、アクラム・カーン『DESH--デッシュ』に行って参りました!

さいたま芸術劇場はこんな感じ。JR埼京線与野本町で降り、ここのどこに劇場が・・・って思っていると、駅から続々と続くおしゃれ人間たちの列。どう考えてもコンビニとかスーパーに行く雰囲気ではない、柄物のタイツとかパンチの効いた色のリュックとか尖ったブーティとか身につけた人たちがある一定の方向に向かって歩いて行く。

劇場入口はこんな感じ。まだ雪がちょこっと残ってました。
私はあんまりたくさんダンスを観ないので、だからでしょうか、
いまだになんとなくダンスに対しては気後れする部分が正直あります
(ハッカ糖に、「気後れすんな!」って書いてるのにね!)
・・・だって・・・・なんかみんなおしゃれだし、インテリっぽいし、
頭良さそうだし、フランス語とか英語とかしゃべれそうだし、お育ち良さそうだし・・・ねえ。
(全部甘夏のコンプレックスのなせるわざ)

特にこういう、世界的に名の知れた振付家による本格的なダンスは、
ハイカルチャー万歳! という感じがして
日頃twitterとかTBSラジオとかJ-popとかに身を浸してるものとしては
どことなく取っ付きづらいのです。まずどんなおしゃれをしたらいいのかわからない。
アクラム・カーンは昨年の英国オリンピック開会式で振り付けをされた方という。
そこについてもどう感じたらいいのかわからない。うーん。

とか談笑しながら舞台に臨みました。が、
予想通りというべきか、予想なんてしてないのではるかにというべきか、
めっちゃめちゃすごいものを観てきました。最高!
いままで観たダンスのなかでも文句無しにすっごいよかった!

今回のダンスは、アクラム・カーンによる一人ダンス。
37歳になり、「自分と向き合うダンスを初めて作った」というこの踊りは、
過去と現在を往復しながら深く自分のルーツへと潜って行きます。
アクラムの実父であるお父さんのエピソードが盛りだくさんに出てくるのですが、
最初語られたエピソードはなんともユーモラスな、会場が笑い出すようなもの。
なんと、剃った頭にお父さんの顔の絵が描いてあって、
それを見せながら(アクラムはずっとうつむいている)踊るの!
おちゃめすぎ!
そこから舞台は、アクラムが子どもに読んであげている絵本のなかに入って
アニメーションと一緒に森を抜け蜂をつかまえる
うつくしいシーンへつながり、
現在と過去を交錯する留守番電話のシーンへつながり、
アクラムの故郷バングラデシュの児童労働を巡るエピソードに広がり、
彼の父の過去の、忘れたいけれど忘れられないような残酷な話を引きだして、
破竹の勢いで観客の心をエンディングへと運んで行く。

父と子、というか親子の話というのは、もうあまりにもありふれていて
普通の演劇や小説にすると意外とべったりとしてしまい、
感情をうまくのせるのがとても難しいと思います。
実際にあっただろうエピソードが、巧みな踊りとともに展開されていくのだけれど
感情がうまい具合に抽出されていて、ちゃんと私たちの心が載るスペースが確保されている。
父に理解されない仕事をする男としてのアクラムのシーンがもう、泣けるし、
国を越えて仕事をする息子のことをわかっているのかいないのか、
土地があるから戻っておいでという父の電話がもう本当に胸に迫ってくる。
もう、おとうさーーん! って叫びたくなりました。

素朴な感想として、いつも思うのです。たとえばカルト的と言われるアーティストをみると、このひとのお父さんお母さんっていまどうしてるんだろうなー、っと。
このひとにも実家があって、田舎があって、理解したりされなかったり、
葛藤したりしてるんだろうなと。
そういうことを思わせるものすごく珍しいダンスでした。
そもそもこんなに物語性の強いダンスを初めて観ました。
私の尊敬する演出家さんはよく「俳優は三世代背負って舞台に立つ」とおっしゃっているのですが、
アクラム・カーンは自らの父と、自分と、子どもと、そして育った国と街を
しっかと背負い、そして悲しみに耐えているように見えました。
どんな気持ちで踊ってるんだろう。気になる。
そして、舞台美術も音楽も踊りももちろん一瞬たりとも気が抜けませんでした。
ダニエル氏からまたお手紙もらいますので、それもお楽しみに☆

もう終わってしまったのですが、予告編をyoutubeにて見つけました。
ぜひ観てみてください。
そして埼玉の方へ。
彩の国さいたま芸術劇場はこうした、世界的にものすごい作品をやっている
貴重な場所なので、お近くの方、通わない法はありませんぞ!!



2013年1月24日木曜日

近況報告+ハッカ糖はどこで買えますか?+ダニエルさんからの手紙

ごぶさたしました、甘夏です。いやほんとに。何をしてたかというと、

■昼の仕事
 (事務職をしています。いろんな人が動きやすいように調整ごとや相談をしたり、
  ときに深夜まで居残りしたりお菓子を配ったりします。
  高校生のとき、職業の紹介がある本をみながら
  「事務ってなんだよ、具体的に言えよ」とつねづね思っていたのですが、
  要するに他のなんでもないこと、なんでもあることを総じて「事務」
  ということなのかも。存在を気づかせないほど自然に物事を進める、
  というのが事務のプロフェッショナルだ、とつねづね思っています。)
■イベントの準備(詳細は後日!)
■次の号の準備
■実家のパソコンを整理する、住まいの整理
■雪かき
■映画サークル時代の友達が数年ぶりの新作を映画館で上映するイベント、
アントルラ vol.1 に行く、が、席がない、次の公開機会待ってます! 
■映画『Playback』を観に行く。知り合いが監督なのですが、
かーなり、トラウマになった箇所がありました。素晴らしい。
名古屋、大分、ほかで上映始まるのでお近くのかたはぜひ!
骨太の男の映画だよ! 二度観たくなる作品です。
■同じく大好きな友達Kちゃんが撮った8mm映画のアフレコに行く。
出演したのは4、5年前でした。
共演したM君がめっちゃめちゃかっこよく映ってた。
おのれは猫背が気になった。人間っていうかほぼ猫の役でよかった。。
■親知らずを抜いた、数年ぶりのドキドキ感と熱

というわけでいまここです。これからは落ち着いて更新できます!

さて、いろんな人にお渡ししているこの雑誌「ハッカ糖」創刊準備号ですが、
読者のかたにいただいたお問い合わせがあるのでお答えします。

Q:ハッカ糖はどこで買えますか?

A:いまのとこ、どこでも買えません! ごめんなさいーーー!

 と、いうのもですね、創刊準備号ということもあり、また甘夏がほかの仕事もしていることもあり、次に万端整えて走り出すため、今回はとても少ない部数しか作成できていないのです。お世話になった方、関係者、劇場等にお渡ししてもうすっかりなくなってしまうぐらいの部数です。なので、今回は甘夏とハッカ糖編集部周りだけで少しずつ手渡ししています。ごめんなさい。
 
ありがたいことに、読みたい、とか、どこで買えるの、見本はないの、
というお言葉をいろんな方からいただいているので、
現在このブログからPDFリンクで観られるよう準備をしています。
2月頭にはオープンするので、お待ちくださいね!

また、創刊号以降は販売の予定です。
こちらも続報おまちくださいませ!

そんななか、創刊準備号で全国のおすすめ演劇を紹介してくれた、
頼りになる(見た目はひょろっと頼りない)兄貴分、
ナカヤマ氏あらためダニエルさんからお手紙が届きましたよ! 
本誌で近畿公演を紹介した、中野成樹+フランケンズという劇団の、の横浜バージョンを観に行ったのです。目下あさって土曜日まで福岡バージョン、やってます。
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ぶんいたえともぶぶんいたいたとのえともとええともとのともとの中野成樹+フランケンズ『ナカフラ演劇展』D1プログラム
『マキシマム・オーバードライブ改』
『家族でお食事夢うつつ』

  ども、ダニエルです。
 演劇を見ていて醒めちゃうときっていろいろあるけど、
 ひとつは不自然なときだと思うんだよね。
 しゃべり方がヘンだったり言葉づかいがおかしかったり、
 身振りが不自然なとき。
 これはまあ、映画でもドラマでも同じなんだけど、
 例えば「そんな風に喋んないよ」って思うポイントがあると、
 気になって、話に集中できなくなるんだよね、僕は。
 これが歌舞伎とか能だと、「伝統芸能だからね」で済むし、
 そもそも「普通」じゃないセリフ回しや動きを観に行ってるから
 気にならないんだけど。
 この「不自然である」というのは、
 お話のなかでのリアリティがないと言うこともできる
 (「お話のなかで」っていうのが重要!)。
 だからそういう意味では、外国の、しかも昔の作品を
 上演することにはちょっとリスクがある。
 「日本人はそんな長々しゃべらないよねぇ」とか、
 「そんなオーバーリアクションじゃないよねぇ」って思われかねないから。

 その点、中野成樹+フランケンズ(ナカフラ)の今回の公演は、これまで同様
(僕はナカフラを見るのは7回目だったかな?)、
 外国のお話を、ストーリーの核心は残しつつ、
 セリフやキャラクターをアップデートして、
 現代のぼくたちが普通に楽しめるようにしておりました。

 と、いうわけで、まず『マキシマム・オーバードライブ改』。

 フランスが世界に誇る劇作家の一人、モリエールの『亭主学校』という作品が
 原作なのですが、これ、1661年に書かれたお話です!
 僕はこれまでモリエールの作品を2回見たことがあるけど、
 その時はそんなに面白いと思えなかった。
えともとの 当時の僕に、それらの上演のよさがわからなかっただけかもしれないけどでも、
 今回はすごく面白かった。
 理由は二つ。ひとつはキャラクター設定がよかったから。
 もともとのあらすじは、
 お互いを信頼し、干渉しない「オトナの関係」を築いている兄夫婦に反対する弟が、
 自分の婚約者を束縛するうち(部屋に監禁さえしている!)、
 結局は彼女を性格のマトモなイケメンに取られてしまうって話。
 しかも間抜けにも、弟自身が気づかないうちに二人をくっつけてしまう。
 クラシックなコメディであるこのお話を、
 ナカフラの演出で弟をDVの気があるヤンキーにしていたんだけど、
 これが絶妙で、グッと話に入りやすくなっていた。
 もうひとつは、30分で手際よく見せてくれたから。
 原作も短編なんだけど、セリフを現代っぽい表現に変えテンポも詰めたことで、
 僕らの感覚に合う上演になってたと思う。
 と同時に、文学的・歴史的には意味があるのだけど僕らが演劇として楽しむ時には
 「余計な」修飾語だとかをセリフから取っていたぶん、
 弟のアホさ+可哀想さがストレートに伝わってきた。
 
 つづいて、『家族でお食事夢うつつ』。
 アメリカの劇作家ソーントン・ワイルダーが1931年に書いた
 『ロング・クリスマス・ディナー』が原作。
 地方に住むある一家の90年(!)の歴史を45分(!)で描く。
 そういうと、「時間足りるの?」って思っちゃうけど、大丈夫。
 演劇(というかフィクション一般)では時間の経過を操作できるから。
 でも、うまくやるにはコツがいる。原作者のワイルダーは、
 場面をクリスマスに限定した。家族で過ごすクリスマスを何年かごとに見せる。
 これはとてもハッキリとした形式だから、
 一度理解すれば時間が飛ぶことに戸惑わない。
 定点観測的に見ていくから、変化もわかる。
 子どもが生まれたり、親が亡くなったり、子どもが成長し、独立したり…。
 嬉しいことも辛いこともひっくるめて淡々と時間が進行していく。
 その分、一瞬一瞬の、とりわけ幸せな瞬間の貴重さがよくわかる。
 テンポよく、サラッと上演するナカフラのスタイルは、
 こういうお話に合っていると思う。また、
 机と椅子そして天井から吊り下げた電球からなる舞台装置も、
 シンプルなだけに想像力が刺激されてよかった。

 最後に。昨年末、実家に帰り、家族で年越しをしているときにふと
 この作品を思い出しました。昨年から今年にかけて、
 わが家に大きな変化はなかったのだけど、いや、なかったからか、
 なんだかとても切ない気分になりました。

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この公演は甘夏も行ったのですが、もう、『家族でお食事夢うつつ』が
愛おしすぎて。劇場を出てから涙をこらえるのに必死でした。
ただでさえ家族ものには弱いのに、理解や無理解や寂寥や喜びを
あんなふうに凝縮して見せてくれるなんて。とても洗練され、
おしゃれな音楽と美術と、どこか手作業感のある舞台のバランスもよかったです。
(横浜のSTスポットという小劇場で、ダンス公演が多くやるところなのですが、いい箱なんだこれが)

そうそう現在は、ハッカ糖でおすすめしたマームとジプシー『あ、ストレンジャー』も東京・吉祥寺シアターにて上演中です。当日券もあるよ!
彩の国さいたま芸術劇場では、アクラム・カーン『DESH』が26,27日。
身体一個じゃ足りないわ!

ではでは、良い週末をお過ごしくださいませ。